今回は酷暑の日本を尻目に、真冬のタスマニア島(オーストラリア)に行ってきました。
最低気温2~3℃、最高気温も12℃と、日本の真冬ほどではありませんがしっかり寒い冬でした。
タスマニア島を訪れた目的は、弊社でも取り扱いのある”タスマニアラムウール”が生産されている場所をこの目で見るためです。
タスマニアラムウールとは、タスマニア州で育ったメリノ種という羊の中でも、生後6ヶ月前後の子羊から刈り取られるウールを指します。
南半球の地まで行かせてもらえるなんてかなり贅沢な出張ですが、今季はとあるお客様にこのタスマニアラムウールのニットを沢山オーダーいただいたので、動かないわけには行きません。
今回訪れたのはタスマニア島の北に位置するロンセストン。
ホバートに次いで第二の都市ですが、空港に降り立つとすぐに見えるのは牧場!
市街に着くまでのタクシーから沢山の羊や牛を見ることができました。
市街に着いても長閑な町並み。時間がゆっくりと流れます。
そこから車で1時間ほどの場所に、1軒目の牧場『CRESSY HOUSE ESTATE』がありました。
ファームステイ(ホームステイの牧場、農場版)もできる、200年前から家族代々営んでいるアットホームな雰囲気の牧場です。
200年前に建てられた小屋は、200年経ったとは思えないほど良い状態で残っていました。
小屋の中で見せてもらったのは、羊1頭から採れたウールのかたまり。これをフリースと呼ぶそうです。
自慢のフリースを前にノリノリのオーナー。ポーズを決めてくれました。
剪断されたままの姿で繋がっているので、なんとなく頭や足の位置が分かりますね。
これは大人の羊のフリースなので広げると驚きの大きさですが、子羊のフリースはもちろん更に小さくなります。
大人の羊からは1頭あたり2KGほどのウールが採れるそうですが(洗い上げ後)、子羊からは数百グラムのウールしか採れないそうです。希少!!
続いて牧場の方へ連れて行ってもらうと……
広っっっっっっっっ!!!
私が想像していた牧場は、動物園内のふれあいコーナーのように柵に囲われたものだったのですが、これはもはや草原。
広々とした場所で育てることにより羊も感じるストレスが少なくなり、品質の良いウールが育つそうです。
しかしその広さが私には裏目に。
羊の群れを写真に収めようとワクワクしていたのですが、追えど追えど羊たちは逃げていくばかり……。
私の残念な気持ちを表すかのように、空の雲もどんどん厚く暗くなっていきました。
このまま羊を間近で見ることもできず、触れることもできないまま終わってしまったらどうしよう……。
落ち込んでいる私を見かねた、オーナーが声をかけてくれました。
『子羊にミルクをあげてみるかい?』
『……..!!!!!』
オーナーに呼ばれるがままに付いていくとそこには……
かっ
かっっ
かわいい~~~~~!!!!!
なんと生後1週間の生まれたてほやほや、正真正銘のタスマニアラムちゃんがいたのです。
しかも抱っこまでさせてもらいました。
小さい!柔らかい!!温かい!!!
これが生きたタスマニアラムウールなのかーーー!!!と一人で感動してしまいました。
この子が数ヶ月後には初めての毛刈りをされ、それがタスマニアラムウールとしていつしか糸になる……。
生身の子羊を抱いて初めて、『原料が糸になる』のではなく『生き物が糸になる』のだと実感できた1軒目でした。
長くなってしまいましたので、2軒目の報告はまた次の記事で。
お楽しみに。