2018.06.27~06.29 に PITTI IMMAGINE FILATI 83 の展示会に行ってきました。
例年に比べ、フィレンツェは過ごしやすい気候。
日差しは相変わらず強いものの、カラッとした夏の暑さで想像していたよりも快適でした。
毎年この時期に訪れると、ショップでは大々的に夏のセールが行われているのですが
今年は気温が上がりきらないせいか?ひっそりと値下げしている程度のお店が多かったように感じます。
それでは展示会の様子をご紹介いたします。
まずはテーマ。
Pitti Immagine 共通のテーマが 『PITTI OPTICAL POWER』。略して『P.O.P』。
夏らしいポップなカラーのストライプやドットが揺れ交わるポスターやモニュメント。
視覚的かつ仮想的な光景を目の前に、私達の視力はより一層鋭くなり、視野は広がり、また新たな視点が生まれる。
現実感に囚われず、自身の構想のままに見て感じて表現して!そんな訴えを感じさせるテーマでした。
それからPitti Immagine Filati独自のテーマが『W.W.W』。
ここ20年ほどで、時代は急速にアナログからデジタルへと変化してきました。
インターネットの普及やあらゆる技術の向上によって、様々なものが影響を受け大きく形を変えてきたのは皆さんご存知ですね。
たとえばコミュニケーション、たとえば情報、たとえば自己主張、たとえば人との関係性。
そしてファッションのあり方もまた、それらと同じといえます。
クリックひとつで翌日には着たい服が届いたり、好みを伝えるだけでコーディネートが選んだ服をレンタルできたり
スーツを着て写真を取るだけで自分の身体のサイズが全て数値化されたり。
無駄が省けて利便性は高まったように思えますが、それでも身にまとう“衣類”自体の存在は未だなくなっていませんね。
喜びや悲しみといった感情を、絵文字やスタンプ一つで表現する時代になってしまいましたが
そんな時代だからこそ、“ニット” が “着ること” を、またそれに伴うメッセージを表現するアイコンの一つとして
これからも存在すべきなのではないかと感じました。
続いてカラーです。
ぱっと見て、いろいろな色味やトーンのドットが集まって、拡大したデジタル画面のように見えませんか?
そんなところからも先程のテーマを感じます。
色味はどちらかというと暖色系が多め、トーンは毛糸玉でありそうなソフトなものが豊富です。
その中で点々と目立つネオンカラーも、デジタル感を強調しますね。
また、各糸メーカーのリコメンドカラーとして多く挙げられたのが、赤みのあるパープル。
さらに、ベージュやマロンなどの落ち着いた色に、赤やマスタードなどのアクセントカラーを合わせた配色がおすすめだそうです。
次に素材状況・傾向ですが、昨年からウールを筆頭に全体的な原料高騰が続いているため、各社糸の値上がりを避けられないという厳しい状況です。
それでも糸メーカーは糸を売らなければなりませんし、アパレルメーカーは糸を買わなくてはなりませんよね。
そこで、値上がりをカバーするための新しい打ち出しが各社で見られました。
たとえば
・人気糸の廉価版提案(かといって闇雲に品質を落とすのではなく、良質さは残しつつ扱いやすくなった!イメージ)
・ストックアイテムの拡大や、ストックカラー数の増加
・カシミヤなど高級素材を取り入れた新しい糸の提案
・ラグジュアリーラインの立ち上げ
などなど……。
とても難しい状況ではありますが、ピンチをチャンスと捉えて新しい企画、提案をしていけたらと思います。
最後に糸です。
前回の春夏に引き続き、ラメ、スパンコール使いや、さらにはシルクやリヨセルを使用した光沢糸が多くありました。
カラフルな絣糸、プリント糸、カラーネップなども継続です。
また、サスティナビリティー、トレーサビリティーなどといった、環境や社会への影響を配慮した『エシカル』への関心も一層高まり、エコやオーガニック、リサイクルを謳った素材、糸もかなり増えていました。
いかがでしたでしょうか?
次回は9月の上海SPIN EXPOです。お楽しみに。